老健の費用が払えない場合に使える制度と相談窓口
税金や物価が上がる中、医療・介護に関する費用をどのように工面していけば良いのか、どこに相談するべきなのか、お悩みの方も多いことと思います。
「お金のことだから相談しにくい」
「費用を滞納してしまい、強制退去になってしまうのでは?」
という不安は大きく耐えがたいものです。
しかし、身近に相談できる窓口もありますし、滞納した瞬間に老健の退去を求められることはまれですので、まずはご安心ください。
お金に関する相談をしにくいと思う方が大半ですが、問題を放置せず早めに相談することが重要です。
この記事では、費用負担を軽減する制度や相談できる窓口、実際の事例などをご紹介していますので、是非最後まで読み進めていただければと思います。
監修者

老健の費用が払えないとどうなるのか

まず、介護老人保健施設(老健)の費用を支払えなくなった場合、すぐに退所を求められるわけではありません。
まずは施設から支払いの督促が行われ、その後も支払いが難しい状況が続く場合は、相談の場が設けられることが一般的です。
そこで分割払いの提案や、一時的な支払い猶予といった調整が行われるケースもあります。
契約書には、「契約金の滞納が○○か月以上あった場合、契約の解除ができる」などの文言が定められているケースが多く、契約書の文言通りであれば、退所になってしまうことになります。
しかし、本人の年金を家族が生活費にあてているケースなど考慮する例もあり、規則だからということで一律で退所になることはまれです。
施設としては、まずは家族や身元保証人や連帯保証人の方とお話をさせていただき、場合によっては生活保護の申請をしたりします。
たとえ老健を退所することになったとしても、生活には困らないように基盤を整えてから、次につなげます。
相談員の立場から言えること
相談員の立場からすると、サービスをすべて中止にするわけではなく、その人の生活全体のことやサービスを打ち切ってしまった後のことも考えて、行動することが多いのが現状です。
入所してみたもののお支払いに困ってしまったということが無いように、申し込みいただく段階では、お伺いできる範囲で年金の額や種類を確認することもあります。
さらに、施設の料金表も実際に提示し、事前に十分な説明をした上で、本当に入所しても大丈夫か検討していただきます。
入所の費用に関する案内だけでなく、減免制度なども合わせて紹介しています。
このように、事前に入所費用について十分に検討を重ねてから入所となりますので、多くの場合、老健の費用が払えないという状態にはなりにくいというのが現状です。
過去の事例
実際にあった事例を一つご紹介します。
親子で生活保護になっているご家庭で、サービス料金の滞納があった事例です。
この事例では、在宅でのサービスを整えた上で退所していただき、その後、分割で少しずつ滞納分をお支払いしていただく方向で話がまとまりました。
自宅に戻られた後も、入浴やリハビリなどのサービスを継続して利用でき、安定した生活を送れた事例です。
こちらの利用者さんは、当苑のサービスが無くなってしまうと入浴にも困ってしまうような状態だったので、サービスを打ち切るわけにはいかなかったのです。
他にも、過去に滞納した方で念書を書いていただき、後日分割でお支払いしていただいた事例もあります。
いずれにしても、滞納になってしまいそうな時や滞納してしまった時には、早めに相談していただければ、最善の策を関係者みんなで考えることができます。
支払い負担を軽くする制度・方法

老健費用のお支払いが大変な場合でも、公的な制度を活用することで負担を軽減できる可能性があります。代表的な制度を整理すると、以下のようになります。
負担限度額認定証
こちらは、最初にご家族に案内する制度です。
住民税非課税世帯が対象で、所得に応じて食費や居住費が軽減されます。
負担限度額認定証の交付を市区町村に申請し、発行を受けることで利用できます。
貯蓄の額によっても対象となるかが決まりますので、詳細はお住まいの市区町村役場までお問合せください。
<行政の職員は貯蓄の額を知ることができる?>
負担限度額認定証の申請をする際に、前橋市では申請書と同意書の記入をします。
同意書の文面には、
介護保険負担限度額認定のために必要があるときは、官公署、年金保険者又は銀行、
信託会社その他の関係機関(以下「銀行等」という。)に私及び私の配偶者(内縁関係の
者を含む。以下同じ。)の課税状況及び保有する預貯金並びに有価証券等の残高につい
て、報告を求めることに同意します。
という文面が記載されています。
必要に応じて、銀行などから行政に情報提供が行われる場合がありますので、収入や預金額に関する申告は、漏れなく行うようにしましょう。
また前橋市の場合、本人やそのご家族が施設などに入所し食費や居住費を負担した場合、家に残る家族の生活が費用的に困難になるケースがあります。
このような場合は、いくつか条件はありますが、食費・居住費の特例減額措置という制度が使える可能性もあります。
詳細は、前橋市の介護保険課へお問合せ頂くか、以下のリンクより資料をご確認ください。
高額介護サービス費(介護の費用のみ)
介護保険の自己負担額には上限があり、その上限を超えた分は払い戻されます。特に要介護度が高くサービス利用が多い方に役立ちます。
該当する方には、行政からお知らせ(お手紙)が届きますので、送られてきた書類に必要事項を記入して送付すると、後ほど自己負担額を超えた分が払い戻されます。
高額介護サービス費に関する詳しい情報は、下記のサイトでご確認ください。
高額介護合算療養費制度
毎年8月1日から翌年の7月31日までの期間でかかった、医療と介護の自己負担を合算し、一定の上限を超えた分を払い戻す仕組みです。
世帯全体で考えたときに、医療費も介護費も高額になっている場合に適しています。
こちらも該当者には、市から世帯主宛てに翌年の1~3月ごろにお知らせが届きます。
各市区町村のホームページにも情報がありますので、お住まいの自治体のホームページよりご確認ください。
群馬県の制度については下記をご覧ください。
世帯分離
高齢の親と子が同じ世帯で生活している場合に、世帯分離を検討することがあります。
世帯全体の所得で負担額が決まるため、世帯を分けることで費用を軽減できる場合があるのです。
しかし、一方で親が子供の扶養に入っていると、世帯全体で収入があるとみなされてしまうため、特定のサービスを受けづらくなることも考えられます。
国民健康保険料や会社の扶養手当、社会保険料などの負担が増える可能性もあるため、世帯分離が本当にベストな選択なのか、世帯の状況をよく考えた上で判断するようにしてください。
また、別世帯となることで市役所の手続きの際に委任状が必要になり、手続きが煩雑になってしまうことも考えられます。
様々な例が考えられますので、相談員などとよく相談をしてみてください。
生活保護の利用
手を尽くしてもお支払いが出来ない場合、最後の手段として生活保護を利用することで、老健の費用も公的に賄われます。
資産や収入の状況によって適用が決まりますので、お住まいの自治体の窓口に確認をしてみましょう。
生活保護は貯蓄額が極端に少ない状態で、生命保険の解約なども行い生活費に当て、それでも生活に困った場合に申請ができます。
また、家や自動車など資産になる物も持ってはいけないことになっていますので、資産の処分を行う必要もあります。
生活保護に関する詳細は、以下のページをご確認ください。
このように、介護費用軽減のためのさまざまな制度が、行政で用意されています。
詳細はお住まいの市区町村の窓口で確認するようにしてみてください。
すでに滞納してしまった場合の対処法

老健の費用をすでに滞納してしまった場合でも、慌てずに行動してみましょう。
滞納はできるだけ放置せずに、入所している施設の相談員さんに、一声かけてみてください。
近年では高齢夫婦だけの世帯も増えており、他のご家族が県外に住んでいらっしゃる方も多い時代です。
お子さんが遠方に住んでいるご家庭では、費用が滞納されていることに気づきにくいこともありますので注意してみてください。
ここからは、すでに滞納してしまった場合の対処法についてご紹介します。
相談員への連絡
まずは、入所している施設の相談員に連絡を入れましょう。
事情を伝えることで、分割払いの提案や一時的な支払い猶予といった対応を検討してもらえるケースがあります。
施設側も利用者さんや家族の生活を支えたいと考えているため、まずは相談していただくことが何より大切です。
一方で、督促を無視して放置してしまうのは、避けるべきです。
施設としても、ご家族や連帯保証人の方と連絡がつくようであれば、親身になって様々な調整をしてくれますので、まずは施設の相談員に一報を入れてみましょう。
老健以外の選択肢を考える

老健の費用のお支払が難しい場合は、他の介護サービスや施設を検討することも選択肢のひとつです。
状況に応じて、より費用を抑えながら介護を続けられる可能性があります。
特別養護老人ホーム
まず代表的なのは、特別養護老人ホーム(特養)の多床室です。
老健と比べて月額費用が抑えられる場合が多く、長期入所が可能な点も特徴です。
ただし入所には要介護3以上など一定の条件があり、待機者が多い地域も少なくありません。
空きがない場合は入居できませんので、早めの対応が必要です。
ケアハウス
ケアハウスは、自宅での生活が難しくなった60歳以上の方が入居できる施設です。
本人の年金などの収入によってお支払いする額が変わるため、収入が低い方でも入所しやすいことが特徴です。
ただし、一般型のケアハウスは、食事を持って移動できたり、施設のお風呂に自分で入れたりと、体の能力がしっかりとしていないと、ケアハウスで生活し続けることは難しくなってしまいます。
収入によって負担額が変わり、安い料金で利用できるとはいえ、自立した生活ができる程度の身体機能を求められるため、誰でも利用できる施設ではありません。
介護が必要になると、介護に対応した施設に行かなければならないため、注意が必要です。
在宅サービスを利用しながら自宅で生活する
在宅で利用できる介護サービスもあります。
訪問介護、訪問リハビリ、デイサービスといった在宅介護サービスを組み合わせることで、施設入所よりも費用を抑えつつ、必要な介護を受けられるケースもあります。
持ち家なのか賃貸なのか、在宅で受けるサービスがどの程度になるのか、本当に自宅で生活ができるのかなど、個別に検討が必要です。
入所費用の問題で在宅サービスに切り替える場合は、ケアマネージャーをはじめとする専門職の方とよく相談するようにしましょう。
その他の施設
さらに、グループホーム(主に認知症の方が対象)、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)といった選択肢もあります。
しかし、これらの施設は負担限度額認定など、減免が受けられない施設になりますので注意が必要です。
それぞれの施設で費用や提供されるサービス内容が異なるため、本人の状態や家族の希望に合わせて検討するようにしてください。
コラム:生活保護で選択肢が広がる?

国民年金で生活している人よりも生活保護の人の方が、支給される金額が多い事例もあるため、生活保護の人の方が施設の選択肢が増えることもあります。
このような事例を知ると、国民年金よりも生活保護の方が良いと考える方もいらっしゃるとは思いますが、国民年金が少額の場合であっても、一定の収入があるとみなされてしまうため、生活保護に該当しない場合もあります。
このような方には、生活保護の制度の中でも、最低限の生活費の不足分を“保護費”として支給してもらう制度もあります。
生活保護と聞くと、生活にかかわる費用が全額支給されるイメージが強いと思いますが、このように保護費として生活費の一部を支給してもらう制度もありますので、国民年金が少なくて困っているという方は、お住まいの自治体の窓口に確認をしてみてください。
相談できる窓口一覧

老健の費用をはじめ、介護に関する費用で困ったときは、一人で抱え込まずに相談できる窓口で相談をしてみてください。
代表的な相談先は、次の通りです。
老健の相談員
老健に入所している場合、入所している施設の相談員は最初に頼れる窓口です。
費用の支払い方法や制度利用について直接相談できますので、早めに相談してみましょう。
ケアマネージャー
在宅サービスや施設利用を調整しているケアマネージャーは、状況に合った制度や他の施設の選択肢について助言してくれます。
介護サービスを利用する本人だけでなく、家族全体の生活をどのようにしていくのか、広い視点で検討してくれることも多いため、現状の困りごとをきちんと伝えることが重要です。
地域包括支援センター
地域の高齢者を支える総合的な窓口です。在宅での介護に関する制度の紹介や、生活全般の支援策について相談できます。
主に、介護保険を申請していない方や、要支援1~2と判定された方々の窓口になる事が多いところです。
お住まいの市区町村の窓口
介護保険に基づく各種の申請や減免制度に関して、正式な手続きを行う窓口です。
負担限度額認定証や高額介護サービス費の申請も行政の窓口で行います。
また、生活保護の申請も行政の窓口で相談することができます。
社会福祉協議会
生活費や介護費用に関する貸付制度、地域の支援活動を紹介してもらえる場合があります。
生活福祉資金貸付制度という制度があり、生活に困っている低所得者や障碍者、高齢者世帯の方に対して、資金の貸付と生活再建に必要な支援を行います。
これらの支援を通して社会参加をし、生活保護にならないように安定した生活を取り戻すことを目的としています。
群馬県の生活福祉資金貸付制度については、下記のリンクをご参照ください。
法テラス
生活再建に向けた法的な相談ができる窓口です。
費用負担や債務整理に関して専門的な助言を受けられます。持ち家の処分などに関しても相談することができます。
法テラスについては、下記のリンクをご参照ください。
お困りの際は、相談員までご相談を
今回の記事では、老健の費用が払えない場合の相談窓口や対処法などについて解説してきました。
老健の費用を滞納しそうな場合は、まずは各老健の相談員に相談することが大切です。
相談員は、利用者さんのその後の生活のことまで考えた上で、適切なプランを考案してくれるはずです。
Change The Life Groupは、老人保健施設ビハーラ寿苑を運営しています。
病院を退院した後にもリハビリを続けたい。
家で暮らせてはいるが、体力が落ちて今後の生活が不安。
これらのようなご不安に寄り添い、地域のニーズに合わせた医療・介護サービスを提供しています。
在宅での生活、介護に不安があるかたは、お気軽にご相談ください。
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