老健の医療費について|入所費用に含まれるものと自己負担の違い
老健に入所した後に、専門的な治療のため、外部への受診が必要になる事があります。
平均寿命が延び高齢化が進む中で、利用者さんが様々な病気や障害を抱えている例も増えてきました。
外部への受診が必要な場合、
「入所の費用とは別に医療費がかかってしまうと支払いが心配」
「老健での診察はどこまで診てくれるの?」
などの不安な点が出てくる方も多いと思います。
そこで今回の記事では、老健の費用以外にかかる医療費について内訳を詳しく解説し、負担を軽減する方法までご紹介します。
入所費用以外にかかる医療費を明確にし、少しでも不安を解消していただける内容になっていれば幸いです。
監修者

老健の費用と「医療費」の位置づけ

介護老人保健施設(老健)を利用する際にかかる費用は、大きく分けて4つに整理できます。
介護保険サービス費
1つ目は介護保険サービス費です。これは、介護度に応じて国が定める「施設サービス費」に基づき請求されるもので、リハビリや日常生活の介助、基本的な看護・医療ケアが含まれています。自己負担割合は原則1〜3割で、残りは介護保険から給付されます。
居住費・食費
2つ目は居住費と食費です。
前提としてこれらの費用は、各施設と利用者さんとの契約で料金が定められているものになります。
居室は、お部屋のタイプにより料金が異なり、多床室よりも個室の方が料金は高くなる傾向です。
居室の形態は4種類あり、各施設で異なります。
居室タイプの詳細は、下記の記事で解説していますので、参考にしてください。
食費は、療養食が必要かどうかと、負担限度額認定証をお持ちかどうかで料金が異なります。
療養食は、カロリーや塩分、脂質など、病気により制限が必要なものがコントロールされた食事のことを指します。
この療養食が提供される方は、基本的な食費に加え、1食あたり60円の負担が必要になります。
食事の形(刻み食・ミキサー食など)による料金の違いはありません。
この食費は高額療養費の対象にはならないため、食事にかかる費用は利用者さんが負担することになります。
しかし、負担限度額認定証があれば、居住費と食費は負担軽減が可能です。詳しくは、お住まいの市区町村役場にてご確認ください。
負担限度額認定証については、下記の記事でも解説しています。
医療費
3つ目が医療費です。老健入所中の医療費は、検査や治療の内容、使われるお薬などによって、老健負担か利用者さん負担かに分かれています。
老健での医療費は、日常的な健康管理や診療、お薬代は介護保険サービス費に含まれています。しかし、一部の処置や検査、投薬や注射など、利用者さんのご負担になるものがあるもの事実です。
老健入所中の医療費の概要を、表にまとめました。

この表では、わかりやすくするため概要のみをご紹介しました。各医療行為の負担元の詳細は、以下の資料をご覧ください。
上記の表のように、医療費の一部は老健側でお支払いしておりますが、お薬の中には高額なものもあります。あまりにも値段が高いお薬を継続される場合、施設の運営上、医療機関と相談の上、お薬の変更(ジェネリックへの切り替えや同等薬への変更など)を打診させていただくこともあります。
もちろん、医学的な判断を最優先にはいたしますが、高額なお薬をすべて施設が負担し続けることは経営を圧迫し、結果としてサービスの質を維持できなくなるリスクがあります。
なので、老健へ入所される前には、利用者さんがどのようなお薬をどれくらい使われているのか、1錠ずつ単価を計算し、1か月でどれくらいのお薬代になるのか計算をしているのです。
医療を提供する側としては、利用者様に費用面でも安心して過ごしていただきたいと思っていますが、事業を継続していくことも、施設側の責任でもあります。
そのため入所の際には、利用者さん(ご家族)のご負担や施設運営の持続性、最適な医療の提供などのバランスを考慮し、最も良い形を模索しながら受け入れの判断をさせていただいております。
日用品・雑費
最後に日用品や雑費です。ティッシュ、衣類の洗濯代、嗜好品など、生活上必要となる細かい費用は別途負担となります。
施設によっては洗濯を外部業者に依頼できたり、用意された日用品セットを利用できたりするため、ご家族が洗濯や日用品を持ってくる手間が省けることがあります。詳細は施設によって異なるため、利用予定の施設に問い合わせてみてください。
医療費が自己負担になったとしても1~3割負担

老健に入所している間に自己負担の医療費が発生した場合は、健康保険(医療保険)の対象となりますので、普段の病院受診と同じルールが適用され、自己負担割合は原則1〜3割です。負担割合は年齢や所得に応じて異なり、一般的には高齢者は1割負担が中心ですが、現役並み所得者の場合は3割負担となります。
医療費がかかるケースは限定的
そもそも老健は、病院での治療が落ち着いた人や、在宅での生活が少しずつ困難になってきた人が入所する施設のため、それほど大きな治療にならないケースが多いのが特徴です。
もし、大きな病気を発症してしまった場合、治療のため入院となってしまいます。このような場合は、老健を退所し入院加療をしていただく流れになりますので、老健と病院で二重の費用がかかる事にはなりません。
特定の医療ニーズと費用
老健に入所する方の多くは、何らかの持病や継続的な医療ケアを必要としています。そのため、一般的な介護サービス費に加えて、個別の医療ニーズに応じた費用が発生する場合があります。
医療処置が必要なケース
例えば、当グループのビハーラ寿苑の場合は、以下の処置や疾患に対する治療の対応が可能です。
【ビハーラ寿苑で対応できる処置】
- 経管栄養(経鼻や胃ろう)
- 痰の吸引
- 在宅酸素療法
- ストーマ(人工肛門・人工膀胱)
- インスリンの注射
上記以外の透析などの処置に関しては、外部医療機関での対応が必要になります。
入所にあたり、病気の処置や治療のことで気になる事があれば、お気軽にご相談ください。
このように、持病や医療処置の有無によって医療費は大きく変動します。
あらかじめ施設に「対応できる処置の範囲」と「追加費用の目安」を確認しておくことが、安心して入所するためのポイントです。
老健と他施設の比較

介護施設を検討する際、多くの方が老健と特養(特別養護老人ホーム)、有料老人ホームの違いを気にされます。特に、医療費がどのようにかかるのかは大きなポイントです。
特別養護老人ホーム
特養では、必要数の医師の配置が必要であり、多くの場合は嘱託医として必要な医師の数をまかなっています。
この嘱託医による定期的な健康管理や緊急時の初期対応は、施設のサービス費用に含まれています。
また、医師の指示に基づいた療養食(腎臓食・糖尿病食など)も提供されますが、老健と同様に通常のお食事料金に加え、1食あたり60円上乗せされます。
一方で、外部の医療機関での診察や治療、インフルエンザなどの予防接種、入院費用といったものは、私たちが通常病院を受診する時と同様に医療費がかかります。
そのため、施設内で完結する基本的な健康管理以外は、医療費が発生することになります。
有料老人ホーム
次に、有料老人ホームです。有料老人ホームは特養とは違い、医師の配置が義務付けられていません。
そのため、有料老人ホームまで往診に来てもらうことはできますが、施設費用に往診の費用は含まれていないため、通常の病院受診と同じように医療費がかかります。
有料老人ホームは医師の配置基準こそ無いものの、協力医療機関との連携をしているところが多いため、緊急時の受け入れ態勢も整えてられているところが多いです。
老健の場合
一方で、老健は医療と介護の中間施設として、日常的な診察や投薬、基本的な検査などは介護保険サービス費の中に含まれています。
他施設と比べると、施設の費用として医療費が含まれる部分が多いため、月々のお支払いの想定がしやすいことが特徴です。
ただし、老健は在宅復帰を目標とする施設であり、長期的に生活をする場である特養や有料老人ホームとは性格が異なります。
老健退所後にどのようなサービスを使いながら生活をするのか、相談員やケアマネージャーと一緒に考えていくことが必要です。
想定外の出費を避けるために知っておくべきこと

老健を利用する際、入所の費用以外に、どのような費用が別途必要になるのか気になる方も多いと思います。
入所に関する費用の全体像を理解していても、外部受診や緊急時、生活用品などは見落とされやすいため、想定をしておくようにしましょう。
外部の医療機関への受診
まず、歯科をはじめとする外部医療機関の受診です。
老健では日常的な健康管理や軽度の診療は対応できますが、色々な専門的治療ができるわけではありません。
診察で見つかった歯や老健で対応しきれない大きな問題の場合には、老健の医師からの紹介状を持参した上で、外部の病院やクリニックを受診することになります。
その際の費用は、通常の受診と同じく健康保険を使った窓口負担(1割から3割)になります。
緊急時の対応
次に、緊急時の対応です。体調が急変した場合には救急搬送や入院が必要になることがあります。
搬送そのものには費用はかかりませんが、入院先の病院での診療や治療費は健康保険が適用され、通常の受診と同様に自己負担が発生します。
医療費以外にも注意
老健では、おむつ代は施設のサービス費に含まれていますが、日用品を老健側でご用意する場合は、費用が別途請求されてしまいます。
1日単位で費用設定している施設もあるため、入所期間が長くなるとそれなりの金額になることも想定されます。
ご家族の方に、必要な日用品を持ってきていただくことで費用を抑えられますので、施設サービス費以外にどのような費用が発生するのかは、入所前によく確認をするようにしてください。
公的制度を活用した負担軽減

費用の内訳についてはご理解いただけたと思いますが、実際に入所費用を負担するのは大変なことですし、少しでも支払いの負担を軽減したいと思う方がほとんどだと思います。
老健を利用するうえで、費用の負担を少しでも軽減するためには、公的制度を上手に活用することが大切です。代表的な制度は以下の通りです。
【利用できる公的な制度】
- 高額療養費制度
- 高額介護サービス費
- 負担限度額認定
- 医療費控除
- 高額医療・高額介護合算療養費制度
これらの制度については、以下の記事で詳しく解説していますので、是非ご一読ください。
よくある質問

Q:確定申告で老健の費用を申告することはできますか?
A:老健の費用を確定申告で申告することができます。老健の費用は医療費控除の対象となります。ただし、個室料(差額ベッド代)は控除の対象外です。
入所に関する料金以外にも、医療的な側面が強い介護サービスは医療費として申告できる部分もあります。(通所リハビリテーションや訪問看護など)
また、ヘルパーさんなど介護・福祉的な側面が強いサービスを使っていたとしても、医療的な側面が強いサービスと併用することで、ヘルパーさんなどのサービス料金も確定申告で申告できることもあります。
お支払いした費用が申告できるかどうかの簡単な確認方法としては、各事業所から発行される領収証を確認してみてください。領収証の中には、医療費控除の対象となる金額という欄があり、この金額が確定申告の際に、支払った医療費としてカウントできる金額です。
領収証の具体例は下記のページで確認できます。
まずは、身近な相談員に相談を

この記事では、老健の入所中にかかる医療費について解説してきました。
老健入所中にかかる医療費は、外部の医療機関への受診や特別な医療行為が行われた時に別途請求され、普段行われている多くの医療行為や検査、投薬に関しては、老健で費用を負担しています。
また、老健以外での施設では医療費がかかる仕組みが違うため、どの程度病院への受診が必要なのかを考えた上で施設を利用する必要があります。
介護費用や医療費に関しては、費用負担を軽減するために使える公的な制度もあるため、老健の相談員にも話をしつつ、使える制度をうまく使っていきましょう。
Change The Lifeグループでは、老健の運営も行っております。
施設長として医師が在籍している他、歯科医師も在籍。リハビリスタッフも充実しており、利用者様に合わせたサービスを展開しております。
群馬県内や前橋市で老健をお探しの場合は、是非一度見学にいらしてみてください。