
介護老人保健施設
介護老人保健施設(老健)という施設はご存知ですか?
老健は、病院と自宅の間に位置する中間施設で、特別養護老人ホームや有料老人ホームとは大きく違った特徴があります。
この記事では、老健についてわかりやすく解説し、提供されるサービスや設備の概要、入所にかかる費用や費用を軽減する方法まで、様々な面から解説していきます。
監修者

介護老人保健施設(老健)とは?

介護老人保健施設(老健)とは、介護保険に基づいて設置された施設です。
主な目的は、利用者様が自宅に戻れるように支援することで、単に介護を提供するだけでなく、医療ケアやリハビリテーションも重視しています。
老健施設は、介護保険上で5つの区分に分けられております。
「基本型」から「超強化型」まで、在宅復帰への取り組み度合いが異なります。
老健の特徴
老健の特徴のひとつに「大規模多機能」があります。
ショートステイなどの入所サービスに加え、デイケアや訪問リハビリなどの在宅サービスも提供する施設が多く、他の介護施設にはない柔軟なサービスが特徴です。
老健で提供される主なサービス

老健では、様々なサービスが提供されます。
主なサービスは以下の通りです。
- 介護サービス
- リハビリテーション
- 日常生活支援、医療ケア
- 食事やレクリエーション
それぞれ解説していきます。
老健の介護サービス
老健施設では、食事の介助や排泄介助、入浴介助など、利用者が必要とする介護サービスを提供します。
また、移動の介助や身の回りのサポートも行われ、介護士が中心となってケアを行います。
老健のリハビリテーションの内容や特徴
個別のリハビリは、入所後3か月間はリハビリ室が休みの日以外は毎日行われます。
時間は、1日1回20分ほど。入所後3か月以降は、週2〜3回程度。
リハビリの特徴は、理学療法士や作業療法士、言語聴覚士が1対1で利用者に合わせたプログラムを提供することです。
日常生活支援や医療ケアについて
老健は医師が常勤でいるため、定期的な診察や体調変化時の臨時診察、医師が直接看護師に指示をしてケアをする場合もあります。
日中は看護師が常駐しており、場所により夜間も看護師が常駐しているところもあります。
基本的には、夜間も含めて医療的なケアができるように体制を整えているところが多いです。
食事やレクリエーションについて
食事は基本的に食堂で提供され、特別なケアが必要な方には、嚥下状態に応じて下記のような食事形態の工夫が行われます。
- おかゆ
- 一口大
- みじん切り
- ペースト食
- ミキサー食
- 水分へのとろみ
- ゼリー飲料 など
レクリエーションは毎日実施され、集団でのリハビリや体操、ゲームを通して頭の体操などが行われます。
介護老人保健施設と他の介護施設の違い
介護老人保健施設は、他の施設と違う特徴があります。
ここでは、特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームとの違いについて解説します。
老健と特養の違い

はじめに、特別養護老人ホーム(特養)との違いです。
特養は、長期的に入所することができ、最終的にはお亡くなりになるまで滞在できます.
しかし、老健施設はあくまで一時的なケアを提供する場で、利用期限が設けられています。
老健は特養とは異なり、施設に医師・看護師が常勤しております。そのため、緊急時の対応や医療的なケアにも対応できます。
また、リハビリ職員も常勤しているため、利用者様に合わせた個別リハビリを提供することが可能です。
老健と有料老人ホームの違い

有料老人ホームは、アパートやマンションと同じように、住居を提供する目的が強い施設です。そのため、提供するサービスや人員の基準が異なります。
利用期限が無いことも、有料老人ホームの特徴です。
有料老人ホームは老健のように、医師やリハビリ職員が常駐していません。
施設により異なりますが、基本的には医師やリハビリ職員は常駐していないと捉えると良いでしょう。
しかし、訪問診療や訪問看護、デイサービスの利用など、外部のサービスを別で契約することにより、必要な介護保険サービスを利用することができます。
老健の入所条件

老健に入所できるのは、要介護1以上の認定を受けている方です。
特養の場合は、入所するために要介護3以上の介護度の必要がありますが、老健では要介護1や2の方も入所可能です。
また、基本的には65歳以上の方が対象ですが、特定の条件を満たす40歳以上の方も利用できることがあります。
認知症の方も施設によっては受け入れが可能で、設備や人員等を充実させている認知症専門棟を備えている施設も存在します。
医療依存度が高い人の入所
各老健で、対応できる幅は異なりますが、多くの老健施設では、医療依存度の高い方も受け入れています。
たとえば、胃ろうや経管栄養が必要な方や、糖尿病でインスリン注射をしている方、喀痰吸引が必要な方、気管切開の方なども対応できる施設が多いです。
老健を利用するメリット・デメリット

医療や看護、リハビリ等で強みがある老健ですが、利用にあたりメリット・デメリットがあります。それぞれ解説していきます。
メリット
- 施設内に常勤の医師がいるため、日常的な健康管理や医療ケアを受けることができます。また、看護体制も充実しているため、夜間も含めて医療面のケアが受けられます。
- リハビリ専門の職員が充実しており、身体機能や認知機能のリハビリが提供されます。
- 介護保険の適用施設であるため、有料老人ホームと比べて費用が抑えられます。
デメリット
- 老健施設では入所期間に制限があり、3か月から6か月程度で退所する必要があります。
- 入院が必要になった場合、契約上ベッドや部屋を確保しておくことができないため、退院後にすぐ戻れる場所がなくなる可能性があります。
- 有料老人ホームのように、利用者が選択した外部サービスを自由に導入できない点もデメリットです。
老健の入所までの流れ
入所までの流れは、以下の通りです。
-
病院スタッフや、ケアマネージャーを通じて老健に連絡を取る
ご自宅にいらっしゃる方が、老健に入所する場合、ケアマネージャーを通して連絡をしていただくと、情報共有がスムーズに行われます。
-
施設見学を行い、施設から説明を受ける
ご本人やご家族から、直接施設見学の申し込みをしていただくこともあります。
-
入所申し込みを行う
入所申込書や、診療情報提供書等の必要書類をご提出いただきます。
-
入所可能かどうかを判断する
ご本人の情報や飲んでいるお薬、お持ちのご病気などを考慮したうえで、総合的に入所可否を判断させていただきます。
施設側での受け入れができるという判断やベッドの調整ができれば、入所の日取りを調整していきます。
入所するための書類や手続き
- 要介護認定の申請が必要
介護認定を受けていないのであれば、要介護認定の申請が必要です。
老健への入所には、要介護1以上の介護度が必要です。
- 入所申込書
ご家族やご本人に記入をしていただきます。
- 主治医からの診療情報提供書
現在のご病気や既往歴、お薬の情報を把握します。
これらのプロセスを経て、入所可能かどうか、施設側で判断がなされます。
老健への入所までの待機期間
待機期間は施設や季節によってばらつきがあります。
特に夏場や冬場は、その時期だけの入所希望者が増えるため、待機期間が長くなる傾向です。
施設の状況により異なるため、具体的な待機期間は直接問い合わせをしてみてください。
老健の環境や設備
老健の居室は、多床室なのか、ユニット型かで設備で異なります。
居室のタイプは、
・従来型個室
・ユニット型個室
・ユニット型個室的多床室
・従来型多床室
の4つのタイプがあります。

従来型個室は、一般的な個室のことで、居室の扉を出ると廊下があるような間取りです。

ユニット型個室は、10人程度の単位でグループを作り、各個人に個室が用意されています。居室のドアを出ると、大きな共有スペースがあるような間取りです。

ユニット型個室的多床室は、多床室よりもプライバシーを重視し、個室にはなりませんが、つい立が設置されている多床室のことです。

従来型多床室は、病院の大部屋のように、1つの大きな部屋に複数人で入居する部屋になります。
間取り以外に、老健の設備は介護保険上で規定されているものがあります。
多床室の場合はベッド・床頭台が備え付けであり、一般棟ではナースコールも備えつけてあります。
認知症専門棟では、認知症の状態によってはコードや電気器具が危険なこともあるため、ナースコールの設置義務はありません。
共有スペースに関しては、食堂兼レクリエーションルーム、浴室(大浴場・個浴等施設により様々)、トイレなどがあります。
老健の利用料金
老健の利用料金は、介護保険の自己負担分(1割〜3割)と、実費負担の居住費、食費、日常生活費、娯楽費などで構成されています
部屋のタイプ(多床室や個室)によって、居住費が異なります。
特養と老健で居住費・食費・介護保険での本人負担分も同等です。
特養の場合は、日常生活費に関しては、個別の設定になります。場所によっては日常生活費をとっていない施設もあるようです。
処遇改善加算は、介護職員の処遇改善加算です。介護職員の給与に直接反映される加算。
ご本人負担の割合に含まれている。全額実費負担にはなりません。
下記のページで、概算の料金を計算いただけます。
老健での医療費
老健では、医療費は施設側が負担します。
医療物品や薬剤費などが施設の負担となるため、利用者が負担することは基本的にはありません。
ただし、薬剤費や医療費が高額になる場合など、施設側で対応が難しくなることもあるため、必要に応じて薬の変更を検討することもあります。
費用負担を軽減するために
介護保険の1割負担でもお支払いが大変な場合は、介護保険負担限度額認定という制度で費用負担を軽減できます。
介護保険負担限度額認定制度は、居住費や食費の減額が受けられる制度です。
そのほかに、介護保険のご本人負担分が一定額を超えると、市町村から高額介護サービス費の対象になる通知がきます。
申請をすると、高額介護サービス費の一部が戻ってくる制度があります。
経済的に支払いが困難な場合は、生活保護という制度もありますので、担当のケアマネージャーや市の職員などにご相談ください。
特定入居者介護サービス費は、負担限度額認定を受けている人が受給できる制度です。
老健の選び方
老健施設を選ぶ際には、リハビリが充実しているかどうか、医療依存度が高い方を受け入れているかどうかが重要なポイントです。
費用が一番安いのは、特別養護老人ホームですが、有料老人ホームやグループホーム等と比較すると、老健の費用は介護保険の利用により安く抑えられます。
介護保険負担限度額認定の該当になるかたは、居住費・食費が減額されますので、ますます負担は抑えられます。
また、在宅復帰を目指す方は、「基本型」「強化型」「超強化型」と基準は異なりますが、在宅復帰率が高い施設はリハビリや日常的なケアに力を入れていますので、在宅復帰率が高い施設を選ぶと良いでしょう。
ターミナルケアに関しては、老健施設は地域に根差した施設でもありますので、慣れた施設、慣れたスタッフの見守る中で最期をお迎えいただくことも全面に出している施設もあります。
ターミナルケアが必要な方も、老健にご相談いただければと思います。
まとめ
老健は、医療ケアやリハビリが充実した施設で、在宅に帰るための中間施設です。
ターミナルケアや医療依存度が高い方にも対応した、地域に根差した施設です。
様々な施設がありますが、それぞれの施設で役割や目的が明確になっています。
費用や入所条件、提供されるサービス等に特徴がありますので、適切な施設を選んでいきましょう。
よくある質問
老健が安い理由は?
老健は特養と並ぶ介護保険施設です。
介護保険を使って施設をご利用いただくため、介護保険外の有料老人ホームなどと違い、費用を安く抑えられます。
老健にずっと入所し続けることはできるの?
基本的に老健は中間施設のため、終身でご利用いただく想定はされておりません。
しかし、ターミナルケアに対応しているところでは、最期まで入所し続けることは可能です。
老健の費用が払えなくなったら?
費用負担が難しくなってくる場合は、各市町村に負担限度額認定の申請のご相談をしていただきます。
それでもお支払いが難しい場合は、生活保護の受給も検討されます。
老健に住民票は移せますか?
介護保険上、住民票を移してはいけないというルールはありません。
しかし、老健はあくまでも中間施設の位置づけのため、住民票を移していただくことはありません。
老健への入所中に外泊できますか?
コロナ渦以降は施設ごとに対応が異なりますが、在宅に戻る練習をする目的で外泊を許可される施設が多いです。
必要な持ち物は何ですか?
入所に必要な持ち物は、衣類・入浴道具、その他身辺動作に必要な物(くしや髭剃りなど)です。
詳細は、施設に問い合わせをしてみてください。
CTLグループでは、介護老人保健施設も運営しています
CTLグループでは、医療・介護・福祉と、グループの総合力で利用者様にサービスを提供しています。
群馬県前橋市にある老人保健施設ビハーラ寿苑も、CTLグループが運営する老健です。
理学療法士、作業療法士、言語聴覚士と、リハビリ専門職が3職種ともそろっています。それぞれの特徴を生かし、専門的なリハビリを提供。
看護師や介護士など、スタッフ全員がリハビリスタッフという自覚も持ち、利用者様にサービスを提供しています。
見学も随時受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
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